利用者の尊厳を守るため、そして安全な介護を行うために、介護士は高い接遇スキルが求められます。利用者だけでなくその家族に対しても、気遣いを発揮しなければなりません。実際、介護士の中には、「利用者もしくはその家族とどう接すれば良いかわからない」「クレーム対応が苦手」といった悩みを抱えている人が多くいます。介護士は、人と接することが主な仕事といっても過言ではありません。働きやすい環境をつくるという意味でも、コミュニケーションを取る方法は知っておいた方が賢明でしょう。
まず、利用者やその家族が話しかけてきた際、「はい」「いいえ」の一言の返答のみで済ませるのはあまり良くありません。介護という仕事上、常に忙しくなかなか会話を続けることは難しいかもしれませんが、一言の返答だと「素っ気ないな」「話しにくい人だな」と思われてしまう可能性があります。一言にちょっとで良いのでなにか付け足すようにしましょう。どうしても時間がない時は、しっかり笑顔を見せて対応するのがベターです。万が一、悪い印象を持たれてしまうと、今後、誰も話してくれなくなる可能性もあります。日頃から会話を少しでも繋ぎ、話しやすい雰囲気を作るようにしましょう。そのためには、聞き上手になることも大切です。相手の話を聞いて受け入れることで、相手が「自分を受け入れてくれた」と感じやすくなるため、信頼関係を深めることにつながります。
そしてクレーム対応でよくあるのが、利用者の家族から不満を訴えられるケース。そんな時、どんなに理不尽なことでもはじめは「そんなことがありましたか。申し訳ございません。」と寄り添う姿勢を見せることが大事です。相手の気持ちを聞いた後、こちらの事情を提示するようにしましょう。気持ちをわかってもらえるだけで、クレーマー側が安心することもあるのです。とはいえ、クレーム対応は人によって最善の対処法が異なるため、どうにもできない場合は、対応に慣れている先輩方に助けを求めましょう。